猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

朝の歌気分である♪

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半年間のマンション修繕工事でカーテンをあけられなかったので
朝の光がことのほかうれしい!
五月! なんとうるわしい季節! ・・・  

朝の歌
中原中也
大正十五年五月

天井に 朱(あか)きいろいで
戸の隙(すき)を 洩(も)れ入(い)る光、
鄙(ひな)びたる 軍楽(ぐんがく)の憶(おも)い
手にてなす なにごともなし。

小鳥らの うたはきこえず
空は今日 はなだ色らし、
倦(う)んじてし 人のこころを
諫(いさ)めする なにものもなし。

樹脂の香(か)に 朝は悩まし
うしないし さまざまのゆめ、
森竝(もりなみ)は 風に鳴るかな

ひろごりて たいらかの空、
土手づたい きえてゆくかな
うつくしき さまざまの夢。

五月の貴公子
萩原 朔太郎(1886-1942)56歳没

若草の上をあるいてゐるとき、
わたしの靴は白い足あとをのこしてゆく
ほそいすてつきの銀が草でみがかれ
まるめてぬいだ手ぶくろが宙でおどつて居る
ああすつぱりといつさいの憂愁をなげだして
わたしは柔和の羊になりたい
しつとりとした貴女あなたのくびに手をかけて
あたらしいあやめおしろいのにほひをかいで居たい
若くさの上をあるいてゐるとき
わたしは五月の貴公子である