猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

ガンダーラ仏の不思議

ガンダーラ 仏の不思議 (講談社選書メチエ)
宮治 昭

インド西北の辺境、ガンダーラ。
釈迦がついに訪れることのなかったこの地に、壮麗な仏教美術が花ひらいた。
はじめての仏像、つくられた「聖地」、ギリシア・ローマの香り……。
繊細な工芸の背後にからむ複雑な謎

(以下キーワードぬきがきノートです)
中央アジアとインドとヨーロッパの狭間で 
クシャーン朝カニシカ王(拝火教)…仏像製作の推進
仏陀不表現⇒仏像
ストォーパ(仏塔)から仏像へ
ガンダーラ(パキスタン)=仏教美術のパンテオン
中インドのストォーパ=聖樹信仰から
化粧皿(前1〜後1世紀中心)…死者の饗宴(前5世紀〜)祖先信仰、デオニュソス信仰に関連
中インドのヤクシャ:ヤクシー信仰や豊穣多産を象徴する動植物文様、蓮のモティーフと同様
ガンダーラ美術を背後から支える民衆の「楽園的」なイメージ
装飾的なモティーフ…ストォーパの階段蹴込み部分
 酒宴図、
  カーブル博物館蔵 カッダの石灰岩浮彫
    酒杯(コブレットとカンタロス)を持つ女性
 葡萄唐草文、
  ペシャワール博物館蔵葡萄唐草文
 男女交歓図、
  スワート博物館蔵 ブトカラ出土 バッカス場面
 花綱をかつぐ童子、再生(新しい生,魂の蘇生)のシンボル
     前3世紀末ヘレニズム美術に始まる、
     ローマ帝政期に流行、戦勝場面(都市の栄光をたたえる)と葬礼場面(不死の栄光)
     ローマでは花綱はつるされている
     ガンダーラでは山部と谷部で同じ曲線規則的な波状←蓮華蔓草の影響
      仏陀の第身辺や三尊像パネルの下段…神格化された仏陀の威光讃美
      童子(エロス、プット)の表現が多い
      童子は獅子やグリフォンに乗って動き回り、葡萄唐草やアカンサス葉文の中にも現れる
     天の邪鬼の出現 ギリシア・ローマの怪獣とアトラス
       足は蛇と化し先端にはしばしばパルメット植物文がついている
 
  カニシカ舎利容器の胴(シャー・ジー・キー・デリー出土)
  ラホール博物館蔵
 アーチ下の童子、
 怪獣(トリトンが多い)

葡萄唐草文はインドの蓮華・蓮華蔓草文と対応する、ガンダーラの豊穣多産を象徴する代表的な植物文様
文様への退化
 ヤクシュ、ヤクシー信仰の表現→(グプタ朝以降)蓮華つる草・蓮華唐草…と同様
 
ガンダーラ美術の末期…6世紀前半に終焉
タパ・ショトル遺跡の地下祠堂、白骨観…果実と男×の唐草文様(6世紀)

バーミヤーン、遙かなり―失われた仏教美術の世界 (NHKブックス)

バーミヤーン、遙かなり―失われた仏教美術の世界 (NHKブックス)

もう一回借りないと(^^;

ガンダーラ 仏の不思議 (講談社選書メチエ)

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