猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

君の名は

植物の名前についてのミニ講義を行う予定ですが、ちょっと話の順番をまとめておくと
まず、「アレの名前」からですね(これの名前をご存知ですか?)

アレの名前大百科

アレの名前大百科

葵とアイスプラントの話をメインにします〜〜
________________
なぜ名前が必要なのか

名前を知るということは、その物に親しむ第一歩である。植物に親しむためには名前を知らなければならない。どんな植物にも名がつけられている。今日では名前のない植物などない。「名もない草」などというが、名前を知らないだけのこと。

(日本の植物の種類名6000種類あると、1998年刊の「植物名の由来」中村浩著に)
共通認識、巨人の肩に立つために
旧約聖書で動植物の名前をつける仕事が与えられた
アダムの職業は「人類最初のガーデナー」であった(エデンの園のガーデナー)
追放後の職業はアダムは耕す人イブは紡ぐ人

植物の正式な(formal)名前は学名(属名+種小名)・・英語では科学的な名前という意味

天竺、唐、という日本の植物の名前(和名)江戸時代の本草学者の命名

最近友人とのハーブの話で、ソレル(英名)とルーミック(学名)・・和名だとスイバで、おしゃれではないですが
それの赤い筋がはいった美しい物がハーブとして人気
古代エジプト時代からあって、
亡父の形見の牧野植物図鑑には7種類載っている

日本植物分類学の大成者牧野富太郎(1862-1957)
近代分類学の祖カール・フォン・リンネ(1707-78)
キューガーデン園長ジョゼフ・バンクス(1743-1830)リンネ学会設立
プラントハンターを派遣し、キューガーデンを一大植民地植物研究センターとした
テオフラトス(前372-前288ごろ)古代ギリシアの現存世界最古の植物学書
その中の植物名で現在も学名に残る名も多い。(by荒俣宏)

近代的な分類法の刷新はリンネから始まった。
リンネは種の学名に二名法(属名と種小名の2語で表す)を採用し、分類を体系づけた。 また、属・種の上位分類として、綱・目を設けて、階層的な分類体系とした。
現在の生物分類でもこのルールは変わっていないが、リンネの時代に比べると階層構造はより多段階となっている。
しかしリンネの分類自体が現在もそのまま生きているわけではない。例えば、リンネはクジラを魚類に分類していたがこれは誤りであった。 また植物をおしべの本数を元に分類したことは有名だが、現在の植物分類ではこの分類手法は捨てられている。
また、リンネの時代には「進化」の概念がなかったため、リンネの分類はあくまでも形態の類似異同の差異による操作に限られる限界があった。


植物学の父リンネは、ギリシア・ローマ神話の神々の名前から名前を付けることを好んだ(by荒俣宏)

植物の分類法に画期的なシステムを導入したのは、
スウェーデンの博物学者リンネであった。
植物の生殖器官―花に着目し、その形態を基準に、雄しべと雌しべの形と数で分類してゆくその方法は
「セクシャル・システム」と呼ばれ、18世紀の後半にはヨーロッパ中に広く知れわたった。
イギリスでその思想に共鳴したソーントンは、リンネ分類学を図解した大著の出版を計画し、そこで生まれたのが史上最美といわれる植物図鑑=「フローラの神殿」

ロバート・ジョン・ソーントン(1768?〜1837)ケンブリッジ大学医学部卒
ジョゼフ・ピエール・ルエゥテ(?〜?)マリ・アントワネットなどの博物室付きの画家
植物画家としては古今最も名声を得た人物

近代の植物画は、ルネッサンス期に、植物学的な正確さと写実性への追求から始まったという
植物画には、おしべ、めしべ、種が書かれる

分類とは何でしょう。「ある特徴でもって共通であるものをまとめること」、とWikipedia「分類」に。
「学名」というのが、リンネが考えた生物の分類の基本単位です。
◆ 植物の名前と分類について(by木下武司 薬学博士)
「リンネは、1735年にSystema naturareを著わし、長い歴史の間に区別されてきた各生物種を、一定の形態的基準を基に区別し直し、それぞれに統一した名称すなわち学名(scientific name)を与えて生物分類の基本単位とした」

scientific name 学名

botanical name=〈植物の〉学名 (wikipedia.en)
属名と種小名であらわすこと・・「二名法」といいます
「同定」(Wikipedia)できなかった場合は、分類されると予想される属名+「sp.」

リンネとダーウィンの関係
新しい分類


植物命名国際コードについて
ISBNというのは国際標準図書番号
(International Standard Book Number 10桁⇒2007年からは13桁の番号)
それに対して
ICBNというのは、略語は似ているが、番号でなく国際植物命名規約
International Code of Botanical Nomenclature

6年ごとの会議で改正される、植物の学名を決める際の唯一の国際的な規範である。同様の任にある国際動物命名規約、国際細菌命名規約とあわせて、生物の学名の基準となっている。改正された規約はその基となった国際植物学会議の開催地の名を冠して「○○規約」と呼ばれるのが通例。現在の最新版は2005年ウィーン会議の結果を受けたウィーン規約(2006年)である。本規約が定めるのはあくまで学名の適切な用法であり、分類学的判断には一切関与しない。(※?)

今年の7月にメルボルンで行われる

動物の方は・・International Code of Zoological Nomenclature

今なお記載にラテン語が必須な植物学とは対照的に、動物命名法は総じて使用言語の一般化の流れがある
反復名 (tautonym) とは、種小名が属名と全く同じ形の学名であるが、植物:反復名は禁則・動物ではOK

人間の学名:Homo sapiens sapiens (ホモ・サピエンス・サピエンス)
分類学的にはサル目ヒト科ヒト属

(サピエンスは賢い、知的を意味する)は25万年前に現れ現在に至っている。
ヒトの祖先はサルであると言われるが、ヒト自身もアフリカ類人猿の一種であり、サルから別の生物へ進化したというわけではない

taxonomy分類学
tax//税金、重い負担。会費
タクソンtaxon//分類群(複数形はtaxa)


花の万博を記念して出版された荒俣宏の「花の王国」
(若桑みどり他推薦 平凡社1990年刊)

園芸植物 (花の王国)

園芸植物 (花の王国)

植物名の由来の本
学としては漢字を使わない意味(再)
岩波生物学事典

ユーリップにゲスナリアという種小名を残した博物学者コンラート・ゲスナー
http://www.humi.keio.ac.jp/treasures/nature/Gesner-web/highlight/high-top_j.html