猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

スクロール

唐草に絡まる人
peopled scroll 関連なのだが
系統樹というか?
ダイアグラム?も関係するだろうか・・・
Porphyrian tree: http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Porphyrian_tree?uselang=ja

三中 信宏http://www.d-laboweb.jp/event/report/130820.html

生き物の多様性を研究対象とする分類学と系統学は、生き物に関する知見や情報を「目に見える」ように体系化してきた歴史をもっている。生物多様性をその進化や系統にもとづいて論じるようになったのは19世紀以降。しかし、分類や系統を視覚化するための、さまざまな方法のルーツは、二千年以上前までさかのぼることが知られている。「これらの分類チャートや系統ダイアグラムを図像学的に見直すことにより、生などの対象物と知見を整理して理解するための視覚化ツールがもつ意義と役割を再考察できる。」

三中 信宏さんの著書2冊手もとにあり、その1
『系統樹曼陀羅』より
? 生物樹―多様な生物界の図像化
ダーウィンの系統樹:説明原理、比喩、何世紀にもわたって伝統的なイメージを持つ図像
ヘッケルの人類の系統発生的分類(1868):系統樹の大安売り,視覚的インパクト   http://en.wikipedia.org/wiki/Ernst_Haeckel#/media/File:Haeckel_arbol_bn.png
(生物体系学や生物進化学の基礎)

存在の連鎖(the chain of being):直線的なチェイン(鎖:chain= ギリシア時代に起源を持つ 階梯 :scale)
直線的でなく分岐的な樹(tree)
・・13世紀の修道士ルルスの偽物の14世紀の『錬金術書』の生命の樹(the tree of life)(Pseudo-Lullus 1474-1475)
アドルフ・レマネAdolf Remane 1898-1976 の『系統学』「網」
マックス・ヒュルブリンガー Max Kahl Furbringer 1846-1920 の鳥類系統樹(三次元)
ラムの時空ワーム

系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク

系統樹曼荼羅―チェイン・ツリー・ネットワーク

? 家系樹―人間に直結する家系図
キルヒャーアダム以降の系統樹(キルヒャー 1675)

? 万物樹―森羅万象は系譜となる

・曼荼羅鳥瞰―系統樹を生みだす人間という存在
系統樹リテラシー

図形言語の歴史
学問の樹、セフィロートの樹、エッサイの樹、家族の樹、病の樹、歴史の樹、比例の樹、数学の樹、建築様式の樹、光の樹、鉱物の樹、神話の樹〔イグドラシルの樹、世界樹に絡みつく蛇‐13世紀フランス写本、新パンテオン、ニュートンの系統樹、易経の樹、活字の樹、ポピュラーサイエンスの樹)
20世紀初頭、聖イシドルス(Isidore)以降の古典的なダイアグラムを再評価
多様なオブジェクトを人間にとって理解しやすくするための図形言語として、系統樹は、広い視野のもとにとらえなおす必要があるだろう
系統樹は図像という表現手段によって、オブジェクトの多様性の持つ情報を貯蔵・伝達するという大きな役割を背負ってきた

下から上に枝を広げる「生命の樹」と上から下に葉を茂らせる「唐草模様」とでは、一見全く異なるデザインのように見える。しかし祖先(ルール)から分岐しつつ子孫が配置されるという点では両者の間には何の違いもない〔p94〕

このあたり、唐草模様に祖先(ルーツ)と子孫という考えがあるとは思えないが、源泉(ルーツ)というのはありうる・・・それはさておき、

なおp94には
伊藤俊治「唐草抄―装飾文様生命誌」〔2005〕(p249、p256)からの引用がある
「生命の樹と唐草模様が根を同じにする思潮であり、ともに系譜を図式表現するためのイコンである」というのは、実はちょっと受け取り方が違うようにも思うが・・〔基本的には、系譜を図式表現するためとはいえない、純粋のデザインである〕
しかしともに持つ、図像学的パワーというのは認められるし、面白い

家系図が「テキスト」による表現から「図形言語」による表現へと置き換わっていった過程

■聖イシドルスの『語源論』 セヴィリアの司教、聖イシドール(c. 560-636)の著した『語源論 (Etymologiae) 』は、最古の百科辞典
http://en.wikipedia.org/wiki/Isidore_of_Seville
■シャルトルの「エッサイの樹』(12世紀フランス):http://blog.livedoor.jp/zakkichou/tag/%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AB
Berthold Furtmeyrのミニアチュア(1481)
■フィオーレのヨアキムの「生成の樹」(12〜13世紀イタリア)http://pl.wikipedia.org/wiki/Joachim_z_Fiore#/media/File:Liber_Figurarum_Libro_de_las_Figuras_Tabla_II_C%C3%B3dice_Reggiano_(s._XIII)_Joaquin_de_Fiore_(1135-1202).jpg

10世紀前後の過渡期における系図表現様式として「表(tableau)」と「樹(arbre)」のハイブリッド的表現形式があった
さらに加えて既に広がっていた「唐草模様(rinceau)を系図に書き加える最初の試みとして、
ボッカチオ『異教の神々の系譜』が位置づけられると、クラビシュ=ズベールは指摘する〔p97〕

しかし移行期においては、家系図の表現はm灘流動的で、他にもヴァリアントがあった〔例 人が他の家系図byヘルマン・シャットSchadt 1982)
■ボッカチオ「異教の神々の系譜」http://en.wikipedia.org/wiki/Genealogia_Deorum_Gentilium
http://www.bl.uk/catalogues/illuminatedmanuscripts/ILLUMIN.ASP?Size=mid&IllID=10735


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