猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

永井荷風を読む

雨で、用事あったが(某編集会議)無理をせず家篭り・・・

このところ、昔読み逃していた、荷風の「断腸亭日乗」をベッドのお供にしているのだが、
大正8年の元旦に9時頃目覚めてチョコレート(ショコラ)をのみ、それとクロワッサンをベッド?(寝床 此の時は布団)で食べながら、
昨夜読み残しの本を読むという話があり・・・(笑)
ちなみに前年、小石川大久保の家(=断腸亭)・家具・書画・本を売リ払って(総額26264円で)
→買ったのはその以下の10分の1の築地の家(2960円)
庭もないのか、花を植える話はなくなってしまった・・・

例の八重次という妓だが、この日記の始まる前に終わりになっていたそうで、
風邪の見舞いに行ったという話のついでに、ちょっと書いてあるくらいで
別の八重福という妓を養女にしよう(自分の病気を介抱してもらう)として、
弁護士に相談した処、食わせ者であるということで、その話はなくなったようだ・・
「兎に角日本現代の生活にては西洋風の独身生活は甚だ不便にて行いがたし」
ふ〜〜ん〜〜〜

荷風は ウィキペディアによれば、1879年(明治12年)12月3日 生まれ- 1959年(昭和34年)4月30日没
大正8年は1919年だから、39歳である・・それからなお40年生きるわけだが、日記を書いている時点ではもうじき終わりだと思っている・・・

(大正8年4月8日)新聞紙によりて世間のことを推察するに、(中略)
余此際に当たりて一身多病、何等のなす所もなく、ただ先人の遺産を浪費し暖衣飽食虚しく歳月を送るのみ。
胸中時として甚だ安んぜさる所あり。
然れどもここに幕末乱世の際、江戸の浮世絵師戯作者輩のなせし所を見るに、彼らは兵馬倥偬の際と言えども平然として太平の世にあるが如く、或は滑稽風刺の戯作を試みる者あり。
或は淫猥の図画を制作する者あり。その態度今日より之を見れば頗る驚嘆に値すべきものあり。
狂斎の風刺画、芳幾の春画、魯文の著作黙阿弥の狂言の如き善く之を証して余りあり。
余は何が故に徒に憂悶するや。須く江戸戯作者の顰に倣うべきなり。

春陽堂からの印税675円とかあり、別に「先人の遺産を浪費」しているばかりでもないようだが・・

あと
5月12日かな、帝国劇場で梅蘭芳Wikipediaの楊貴妃を鑑賞しての感想など興味深い

我邦現時の演劇に比すれば遥かに芸術的品地を備え、気局雄大なることまさに大陸的なりというべし。余は大いに感動したり。
(中略)今更の如く支那及び西欧の文物に対して景仰の情禁じがたきを知ることなり。(中略)
然れども日本現代の帝都に居住し、無事に晩年を送り得る所以のものは、唯不真面目なる江戸時代の芸術あるがためのみ。
川柳狂歌春画三味線の如きは寔(まこと)に他の民族に見るべからざる一種不可思議の芸術ならずや。
無事平穏に日本に居住せんと欲すれば、是非にも此等の芸術に一縷の慰謝を求めざる可からず。

図書で読んでいるのであるが、前に読んだ人が結構線を引いている^^;
その他に妙な箇所にこんな漢字の書き込み・・

http://dictionary.goo.ne.jp/jn/57300/example/m0u/
別にうるさくもないが、最後まで(第7巻まで)よまれたかどうかとちらりと思いつつ!?

それにしても永井荷風の腹痛はなんの病気だったのでしょうか
・・やっぱり、胃潰瘍ですね・・・
http://yojiarata.exblog.jp/21811147/