猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

コレクターズエディション

『イカとクジラ』(The Squid and the Whale 2005)をWes Anderson(1969-)作品ということで見たのですが、
プロデューサーで、監督は違い、Noah Baumback(1969-)の「自伝的」(といわれてしまう)作品でした・・
そして「コレクターズエディション」!
それには、監督の長時間対談や解説があって、それが面白かった・・
両親の離婚を子どもの視点からみる、ということだが
それが結局、マンハッタンにある自然史博物館のジオラマ
イカとクジラの格闘をみているみたいな面もあったの?・・
両方問題ありな親たちですが、
典型的なアメリカの知識人で、時代は1986年という設定
大人になってからの過去の記憶の回想とするつもりだったのを
大人になってからの部分はいらんということになったと監督

自分を守るための辛辣な言葉、冷笑、虚勢
人を俗物という・・父親(作家、教師)・・その価値観・・疑問あり・・
愛と怒りの浮気性の!?母親(売れている作家)・・・結構人を傷つける・・自分が傷つけられたと思ったら人を傷つけていいのかな?何か、納得できない女性です・・
父親の受け売りをする、傷ついている長男が、ジェス・アイゼンバーグ(Jesse Eisenberg, 1983-)の役
映画の最後では父親離れして、
幼い時、怖くて指の隙間からみた、母との思い出の「イカとクジラ」をもう一度見に行く
(母からは「チキン」と呼ばれていた、その理由)
弟役もケヴィン・クラインとフィービー・ケイツの息子とはね、ふ〜〜ん〜〜〜

Noah Baumbackはジェス・アイゼンバーグを、そのうちよい監督になるだろう、という
今、ジェス(ジェシー)は「ソ−シャル・ネットワーク」(The Social Network 2010)
ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」(To Rome with love 2012) も見ましたが、去年で30歳!

ロアルド・ダール(1916-1990)

「マチルダ」は1988年の作品だったんですね
「まるごと一冊ロアルド・ダール」で抄訳をちょっと読んで、これだろうと思って
図書を借りたら「高学年用」とありましたが、そう、子ども時代にこれ読めるとHappyですね
次は「魔女がいっぱい」で魔女の見分け方を読みたいものです・・

「世の中にひとこと」

池内紀先生のエッセイである(NTT出版 2009)
カントの認知症の件を確認しようと思って借りた図書だが、
「がんぽんち」もおもしろい

国文学者・岩本素白(そはく)の随筆で知ったのだが、明治のころ「がんぽんち」といったそうだ。
何やら難しい言葉をエラそうに使いたがる人のこと。

由来「眼本知」(江戸の小唄・・恋が成ると成らぬは「眼もとで知れる」を漢字で書いたメモを、よめなくなって、国もとに帰って「がんぽんち」と声高々によみあげたという。

おりにつけ、この随筆を思い出す。哲学や思想の本に、やたらと難解な日本語や外国語が出てくるときだ

それは、言葉の虚栄心
虚勢を張りたがる人は自信のない人、という・・
それはさておい、カントの話である
タイトルは「私を子供と思って下さい」

生涯独身だったカントには、親しく世話をした友人がいた。
その人が詳しく書き遺している。七十五歳の時カントは、急激に記録力が衰えていくのに気がついた。過去を忘れていく。昨日のことが思い出せない。簡単な日常の言葉が出てこない。
たえす思考につとめてきた人が思考に見放されていく。自分でそれに気がついた時から、カントは一つの言い方を口癖にした。
「どうか私を子供と思って下さい」
七十九歳で世を去るまで、現代医学のいう認知症だった。
必死になって自分の衰えにあらがったが、その精神よりもおいの方が強かった。「老いた子供」は悲しみとともに自分の死を見つめていた。既にそれは偉大な行為ではなかろうか。

HONZサイエンス通信
http://honz.jp/articles/-/40572
記憶操作の話〜〜