再掲
チューリップといえばオランダというイメージが強いが,元来はイスラーム世界からヨーロッパに伝わった花である。
オスマン朝領域やイランではラーレ(ペルシア語起源)と呼ばれ,現代トルコ語でもラーレ lâle と言われる。植物学者クルシウスが1593年にライデン大学に招聘され,そこでこの花の栽培と研究を進めた結果,17世紀になると植物愛好家たちの間でチューリップ人気が高まり,珍しい品種の値段が高騰した。それがヨーロッパ各地に広がり,投機家も参入するチューリップ・バブルとなる。
1718年にアフメト3世がネヴシェヒルリ・イブラヒム・パシャを大宰相に任命してから30年にスルターンが退位するまで,いわゆる「チューリップ時代(ラーレ・デヴリ)」が花開く。
アフメト3世とイブラヒム・パシャは積極的に文芸や芸術を保護し,華美な文化が興隆した。細密画家レヴニーが活躍したのもこの時代である。
地中海学会月報 より引用
「地中海世界と植物 24」 by 太田 敬子
(出典:古代オリエント博物館・松岡美術館・横浜ユーラシア館編
『シルクロード 華麗なる植物文様の世界 』山川出版社 2006 49頁)
⇒http://www.karakusamon.com/tulip.html
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