「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」を読了
山田先生とはイ・ヨンスクが「『国語』という思想」で、日本における伝統主義者として
切り捨てるように何度も対比的に引用する山田孝雄の息子であり、
思えば、辞書界の低迷は、編者の前近代的な体質と方法論の無自覚に在るのではないか。
先行書数冊を机上にひろげ、適宜に取捨選択して一書を成すは、いわゆるパッチワークの最たるもの、
所詮、芋辞書の域を出ない
今後の国語辞書すべて、本書の創めた形式・体裁と思索の結果を盲目的に踏襲することを、断じて拒否する。
辞書発達のために、あらゆる模倣をお断りする
・・という編集意識で作られた辞書「新明解辞典」の主幹である
それにしても読後感はよろしくない
両雄並び立たず、でいいと思いますが、
ケンボー先生が「山田君を許します」といったという話のあとで、
奥さんがケンボー先生の亡くなった後に届いた山田先生の手紙を、破り捨てたとか、
それは、ないではないか?
奥さんの話のあとで、本人が「許します」といったという話の順にしてほしい・・
それだとまだ、同級生なのに、自分の考えのゆえに、単なる助手扱いだったという、
それに対する「下剋上」があったということであろうが
これだと、ケンボー先生、一方的で最後までひどい気がする。
そうではなくて、ケンボー先生の最後の気持ちは、
相手を認めて、
「お互い米櫃ができてよかった」ということ=ウィン-ウィンでしょ・・・
ちなみに、「1月9日」というのは
赤瀬川源平さんのベストセラーに確かにあり笑ったところでした・・
じてん【時点】「一月九日の時点では、その事実は判明していなかった」(『新明解国語辞典』第4版)
それと著者の佐々木健一さんは、美学者の佐々木さんとは別人
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