猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

染料の道

染料の道―シルクロードの赤を追う (NHKブックス)


第3章 墓からのメッセージ
一 頬紅の話
ニ フッギジョカ図
高貴な人の遺骸の覆いだった
高昌邦時代の貴族のお墓は、木枠はあるものの、木棺もまれで、
低い土台の上に葦を敷いて遺骸をよこたえ、
その上に「フッギジョカ」の男女神や日月星辰を描いた麻布などを置き、
顔には絹織物をかぶせる風習があった
(岡崎敬『図説中国の歴史』第三巻による講談社
(目に銀製品をはめ、口にササン朝の金貨や銀貨を詰め込んだ)

アスタナ古墳から大谷探検隊が持ってきた「フッグジョカ図
旅大東北博物館とソウル中央美術館にある
(ソウルの麻絵の方はほとんど傷んでいない)
唐代漢民族の人生観が浮き出ている

三 樹下美人図

MOA美術館の「樹下美人図と
東京国立博物館蔵の樹下男子図は対だった
出会いのシーン
両方とも中央に生命の樹が背景にある
全形に大小の石が二つ三つある構図
盛唐時代に特に流行した
正倉院の「鳥毛立女屏風」の美人の顔も服装も似ている
墓の壁画としてしだいに出来上がってきたものという

漆は中国産
山漆は日本のオリジナル
ウルシという日本語は 潤汁うるしるか塗汁ぬるしるから来たものだろうといわれている(p97)
縄文時代から生活文化の舞台を彩ってきた

四 生命の樹 p99
この壁画の木は世界の多くの民族の生活文化の中で語られている生命の樹である
メソポアミアからササン朝ペルシアまでの文様で、一本の木に両側から前足をかけて葉を食べている牛や羚羊(カモシカ
樹はナツメ椰子
アダムとイブの楽園・・生命の樹と善悪を知る樹
エホバが作ったに本の木・・旧約聖書 創世記2・9
インド釈迦生誕にちなんで「アショーカ樹にもたれる摩耶夫人」
それより古く民間伝承「ヤクシャーとヤクシー(日本では鬼子母神、歓喜母・愛子母)」
森や樹木、山、水に住む精霊
「ガンダーラには夫ととも大勢の子どもを連れたヤクシー像があるそうだ」

京都の醍醐寺にザクロを持った鬼子母神仏画がある
人肉の味がするという
飢饉という言葉の意味は人肉を食うという意味
日本ではザクロをイロマタと呼んでいた
イロは男女の関係、愛、性、命を意味した

中近東原産で
旧約聖書にもイスラエル人が陳の荒野をさまよった時、エジプトのザクロをしたい求めたとある