猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

「上から目線」

冷泉彰彦さん〔ご専門:日本語教育法〕の「『上から目線』の時代」(講談社現代新書2012年1月刊)
読了〜
養老孟司さんの「バカの壁」は2003年刊だったが、
「上から目線」ということばの浸透は2008年から2009年という分析です。

お互いがお互いを「上から目線」だとして憤っている構造に問題がある、という話

「日本語というのは、人間関係の調和が前提となってできている」が、
日本語の会話では上下関係が発生するのが自然だという。

会話の上下関係には3つの要素があり、
・話し手と聞き手という役割分担がその場その場の上下関係を生みだすこと
(話し手の発言権、意見をいう側が上⇒発言権の委譲)
・関係性を規定して敬語や遠近の丁寧表現を使う(組織での立場、年齢、性別)
・意見の相違や利害の相反がある時、婉曲表現や敬意の表現を駆使して
 関係性を傷つけないようなバランスを取ろうとする会話形式がある
「調和と甘え」という基本的な「関係の空気」を守りながら進めるのがふつう

そこで「議事進行」に関する論理を確認しながら進めようという姿勢は
「敵意もしくは強権発動」に見えてしまう
相手を服従させようとする意図ないし語気⇒「上から目線」
会話を中身のあるものにするためには、上下関係を安定させないといけない
→日本語の基本的なフレームである「上下関係」を作りだす(自分を下に置く)
→価値観論争を避ける

水谷豊氏の『相棒』シリーズの右京警部の徹底した「です、ます」調の話し方の効果
(冷静さや品格)
池上彰氏の「いい質問ですねl」こそ、日本語の会話につきものの上下関係のデフォールトを解除する一言
That's a good question!
(視聴者を見下さない、物事を分かりにくいまま放置しないいという姿勢)

会話の参加者とも、話題そのものとも適切な距離を置く


「上から目線」の時代 (講談社現代新書)

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場違いな人 ~「空気」と「目線」に悩まないコミュニケーション

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バカの壁 (新潮新書)

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アホの壁 (新潮新書)

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