猫頭の文房ブログ

人間を獣頭人身で「分類」すると、私めは猫頭。その書斎もとい文房(自室)日常ブログ

神・人・家畜の関係

『神・人・家畜 牧畜文化と聖書世界』(平凡社1997年刊)谷 泰 著で、
「人間は、動植物を管理するに値する」という、西欧の人間・自然観を規定した
旧約聖書の基本命題が、どのようにして成立したのか、ということだが、
古代オリエントでは
麦農耕が紀元前9000年前に始まり
牧畜はその2000年後、
更に肉でなく搾乳利用はその1500年後からであるという。(動物考古学者によると)
(東南アジアや南米では搾乳は独自に発想されなかった)
※『農耕起源の人類史』では農耕の開始は紀元前9500年とあり
(紀元前9000〜7300年の間に栽培穀類、豆類、家畜動物が人々の生業の中で急速に重要になった。p069)

人の居留地への繋留と日帰り放牧がもたらした、
授乳・哺乳を巡る母子関係の不安定化への対処としての、
介入による個体レヴェルでの親和性の確立
肉獲得のための家畜から1500年後の、乳利用の開始(殺さずに蛋白質を得る)
<殺しを介した食行為>・・罪と無罪、不浄と清浄
貢納や流通財としての役割を負わされた<オス>という記号の発生
牧夫が繰り返し行っている技術的関与を止めると群れは再野生化する

家畜と家僕をともに動産として同一視する、古代オリエント神殿都市の家産的支配主
神殿都市と牧人集団との関係・・・・欺瞞的情報(新生子の数など)操作と懐疑に基づくチェックという緊張関係
それは神と人との関係に置き換えられる
旧約五書での動物食規定は、イスラエルの民のアイデンティティを保証する
「優越的対抗者の模倣を通じて、それに匹敵するものとして自分を定位する」

う〜〜ん・・読みたい本でも無かったかも
以上、ざっとやっつけまして、次いで、
『ぼくらはそれでも肉を食う』の目次読書

はじめに  なぜ動物についてまともに考えるのはむずかしいんだろう?
第1章  人間と動物の相互関係を巡る新しい科学
第2章  かわいいのが大事━人間のようには考えてくれない動物についての、人間の考え
第3章  なぜ人間は(そしてなぜ人間だけが)ペットを愛するのだそう
第4章  ともだち、敵、ファッションアイテム?人とイヌのいろんな関係
第5章  「高校一の美女、初のシカを仕留める!」動物との関係と性差
第6章  見る人しだい━闘鶏とマクドナルドのセットメニューはどっちが残酷?
第7章  おいしい、危険、グロい、死んでる━人間と肉の関係
第8章  ネズミの道徳的地位━動物実験の現場から
第9章  ソファにはネコ、皿には牛━人はみな偽善者?

人の道徳には一貫性が無い、日常生活の人類動物学・・だそう
○○人類学でなく人類○○学?
これもそう読みたい本でも無かったかも
とにかく著者は自分の偽善ぶりを受け入れるにいたったという・・
それと、
この本に載っていた下記のURL 文献・著者ブログ・・有効だったので感心!
http://cruel.org/books/somewelove/
表紙・裏表紙の絵は畑正憲さんのだそうで味があり、
著者Hal Herzog さんの写真の太い腕輪と思ったのはペットの蛇であった(~_~;)

訳者の一人の山形浩生さんのあとがきに
あのアンジェリーナ・ジョリーも肉食に戻ってから体調がいいと言ったとあるけど、それ本当??

この関係の本、最後にベルウッド『農耕起源の人類史』をやっつけて終える予定・・しかるにこの最後のは
これぞすごい学術的集大成で読んで
満足できる内容だが
とてもやっつけではむり
マリア・ギンブタスについても第10章に出てくる

考古学では、黒海沿岸ステップ説(黒海沿岸のステップにインドーヨーロッパ語族の故地がある)が強く提唱されてきた。
この仮説は1929年にチャイルドが明確な形で提出し
マリア・ギンブタスMarija Gimbutasが1985年や1991年の著作においてたびたび取り上げてきたものである。
初期のインド=ヨーロッパの人々は紀元前4500〜2500年の間に、最大4回にわたって、
父系の牧畜騎馬集団として黒海沿岸のステップ地域から流入して広がったものである。
インド=ヨーロッパの人々は墳墓(クルガン)をつくり、非インド=ヨーロッパ系の新石器集団に対し、
自分たちのインド=ヨーロッパ後を強要するエリートを組織した。
この新石器文化集団は女神中心の母系観念を持っていた。
この黒海沿岸ステップ説を完全に葬ったのはレンフルーが投げかけた疑問である。
その疑問とは、新石器時代後期および青銅器時代において、クルガンを持つ文化がヨーロッパに拡大したとするなら、ヨーロッパ大陸全体にその考古学的痕跡が全くないのはなぜかというものである。
マーシャ・レヴァインMarsha Levineは馬の家畜化についての研究で、
騎馬について紀元前2千年紀後半というかなり遅い年代を提示している
騎馬はインドーヨーロッパ祖語の各案とは無関係であるとする。
インド=ヨーロッパ語族には階層化が明確な系統樹が無い。

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